ハッシュパピー(Hush Puppies)

投稿日:2020年5月31日 | 最終更新日:2023年3月8日


「ハッシュパピー」(Hush Puppies)と聞いてあなたはどんなイメージをお持ちでしょうか?

はじめてこのブランドの名前を聞かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、もうすでにご存じで長年愛用されていらっしゃる方も多いと思います。

ハッシュパピー(Hush Puppies)について

 

ソールはレンガ色(オレンジ色)(または赤底と言ったりします)の合成ゴム素材で、アッパーの素材はピッグスキンで、デザインはオーソドックスにプレーントゥ。

どちらかと言えばカジュアルシューズです。


革靴よりはカジュアルで、スニーカーほど砕けていない

革靴 < ハッシュパピー < スニーカー


きちんと感のあるカジュアルシューズ、といったところでしょうか?


前述しましたが、「ハッシュパピー」(Hush Puppies)の靴の特徴として、ソールが赤底という点です。

同じようにソールが赤底で有名な「ウォークオーバー」(Walk Over)というブランドもあります。

 

この2つのブランドのはっきりとした違いは、「ハッシュパピー」はセメント製法で、「ウォークオーバー」はグッドイヤーウエルト製法という違いです。


おそらく、シューズショップは別として、洋服のセレクトショップには、「ウォークオーバー」はあっても「ハッシュパピー」はあまり見かけないかもしれません。

セレクトショップは、商品やブランドにこだわりのあるアイテムを揃える傾向があります。


イメージ的には、製作に手間のかかるグッドイヤーウエルト製法の「ウォークオーバー」はこだわりを感じ、製作が容易なセメント製法の「ハッシュパピー」は安っぽく見えてしまうのかもしれません。
(あくまでも私個人の見解です)


今回はそんな「ハッシュパピー」を取り上げてご紹介したいと思います。

 

「ハッシュパピー」(Hush Puppies)は、1958年にアメリカ合衆国ミシガン州ロックフォードのウルバリン・ワールド・ワイド社で誕生したアメリカンカジュアルのブランドです。

日本には、1965年に上陸して当時流行していたアイビースタイルとマッチして人気になったブランドです。

当時アイビースタイルを好まれていた方にとってはご存知の方も多いと思います。

 


(1)「ハッシュパピー」と「ウォークオーバー」の特徴

この2つのブランドの靴のデザインは似ていますが、それぞれ大まかに特徴があります。


「ハッシュパピー」(Hush Puppies)

アッパーの革:「ピッグスキン」豚革
製法    : セメント製法
ソール   : FXソール(合成ゴム底)

※ 「ハッシュパピー」のピッグスキンを使った「「ハッシュパピー」レザー」は、スエードのような見た目と、通気性を発揮することが特徴で、また水や泥をはじく特殊加工を施されています。


「ウォークオーバー」(Walk Over)

アッパーの革は「バックスキン」鹿革
製法    : グッドイヤーウエルト製法
ソール   : EVAレッドブリックソール


靴がお好きな方やこだわりのある方は、まず靴の製法を気にされる方が多いです。


それは、「グッドイヤーウエルト製法」かどうか。



「グッドイヤーウエルト製法」の靴は、ソールの張替えが出来るので長く履くことが出来るからです。


※(セメント製法)の靴でも、オールソールの修理が出来るものもあります。

何回も修理が出来るとは限りませんが、このハッシュパピーはオールソールの修理は可能です。


ただ、「グッドイヤーウエルト製法」は製法に手間がかかるため「セメント製法」の靴と比べると靴自体の価格が高くなってしまうのが難点です。


「グッドイヤーウエルト製法」は、30,000円位
「セメント製法」は、10,000~15,000円位

おおよそ倍の値段の差が出てきます。


そういった意味では、「ウォークオーバー」(Walk Over)の靴は、靴にこだわりのある方にとっては注目されることが多いです。


アッパーの革がウエルト部分に円くカーブするようにつり込まれていて、包まれている形状は、エレガントで美しいです。


その一方で、「ハッシュパピー」の靴は、つり込がなく包み込む形状がなくて真っすぐにウエルトに接着されています。


靴の美しさという点では、このつり込みの包み込まれている形状がないために欠けている、というのが正直な感想です。

靴の製法はセメント製法で、見た目で明らかに判別できてしまいます。


(2)「ハッシュパピー」(Hush Puppies)を履いてみた感想

1)サイズ感

ジャストサイズの靴にしようと23.5(3E)を試着すると、全体的にややきつめ。

この靴の特徴として、

(1)中物にコルクがある製法のものは、後々沈みが出てきて緩くなることがあるけれど、この靴はコルクは入っていないこと。

(2)アッパーがスムース革ならば、馴染んできて余裕が出てくるけれど、この靴のアッパーの革はピッグスキンでスムース革のようにはほどんど馴染まないこと


以上2点から1サイズアップして24(3E)にすると、体重をかけてもどこも当たるところがなくちょうど良い。


ただ、サイズアップするとコンフォートタイプなので、真上からつま先部分を見た時に、トゥがかなりボッテリした見た目になってしまってシャープさが失われる点は残念でした。


横から見ると、「ウォークオーバー」 (Walk Over)のようにグットイヤー製法のように美しいつり込みがなく、ボッテリしてしまっている事。
ちょっとエレガントさにかけてしまう。

ソールも厚めなので、なおさらボッテリ感が強調されてしまいます。


正直、靴の美しさという点では、あまり魅力を感じていませんでした。

で、すぐに履く気にはならずにしばらく放置^^


でも、何日も眺めているうちに、このコンフォートタイプのボッテリ感が見慣れてきて、愛着が出てきました^^

(グットイヤー製法のエレガントさは別として、これはこれでいいかも・・・)

2)履いてみた感想

足入れをすると、インソールにクッションがあって柔らかさを実感。

そして、一日中履いてみると、驚くのはその軽さ(靴を履いていないような感じ)と、ソールが厚いのに返りが良くて本当に履きやすい。

この履きやすい「ハッシュパピー」(Hush Puppies)を履いてみたら、その履きやすさを実感されると思います。


思わず嬉しくなって、内心”買って良かった~”と思いました^^


「ハッシュパピー」のソールは、FXソールといって合成ゴム底なのですが、足を曲げた時に返りが良くて馴染みやすいというのが特徴だそうです。


靴自体の重さは、私個人が所有している昔の「ウォークオーバー」 (Walk Over)と比べると明らかに軽くてインソールも柔らかいです。


この履き心地なら、1965年頃に日本でアイビースタイル(アメリカントラッド)が流行ってからも廃れることなく、今もなお50年経っても履かれ続けているというのも納得してしまいました^^


ファッションアイテムとしては、アメリカントラッド的なイメージが強く、なかなかそこから脱しずらいですが、アメリカントラッドを気にしないでソールのオレンジカラーを活用してうまくコーディネイトすると、意外と違和感なく溶け込めると思います。


このブランドの履きやすさを自ら実感して嬉しくなったので、気になる方は一度お試しいただきたい、と思います^^

「ハッシュパピー」(Hush Puppies)